英語英米文学科の水島ゼミでは、後期開始からひと月ほど経った10月20日から4日間の日程で、道東地域でのフィールドワークに出かけました。これは、経済学科の専門科目である「産業調査演習」(担当:森邦恵先生)との合同企画により実施されたものです。
私たちの学科では、これまで国内外での国際交流や高大連携に力を入れてきましたが、道内の各地域を訪れて社会調査を行うような専門科目がありませんでした。そこで、今回の取り組みを通して、経済学科の授業からノウハウを得ることで、「地域貢献」や「多文化共生」といった英語英米文学科ならではのテーマに関連づけた、新たな教育の方向性を探ることができると考えました。このような目的のもとで、私たちは知床斜里町を中心に、羅臼町、標津町などを訪問し、各所でヒアリング調査を行ったり、町役場や観光施設の方々とディスカッションを重ねました。
今回の研修で私たちがメインの目標の1つとしていたのが、「北こぶし知床ホテル&リゾート」の訪問でした。このホテルには、英語英米文学科出身の先輩が4名も勤務されていて、ホテルのご厚意により、館内を見学しながら、ホスピタリティ業界での仕事の様子や、求められるスキルなどについてお話を伺えることになりました。
以下の写真は、ホテルでの調査の様子です。準備中のレストラン会場やスイートルーム、チョコレートショップ内など、普段私たちが見ることのできない場所を、先輩方とその教育を担当されたホテルスタッフの方がご案内くださり、たくさんの質問に答えてくださいました。
水島ゼミ出身の先輩方、シュッとした親切なホテルマンです!
ホテルの館内で、きめ細やかなホスピタリティについて勉強中
知床の豊かな食材と料理の創意工夫についてお話を伺っています
スイートルームからの眺めに感動!いつか泊まってみたいです
そこでのやりとりから、ホテルの皆さんが知床の土地を愛し、お客様に最高のおもてなしを提供するために日々努力を重ねられていること、さらに野生動物との関わりかたなど、自然との共生を通じて持続可能な社会を作るための教育活動も盛んに行われていることがわかりました。ホテルが進められている地域貢献活動「クマ活」について関心のある方は、ぜひこちら(
https://www.kitakobushi.jp/kumakatsu/)をご覧ください。
最後に、先輩方お二人が会議室で私たちとの質疑応答に応じてくださいました。その中で語っていた「学生時代に学んだ英語や対人コミュニケーションスキル、授業を通じて身につけた異文化理解力が今の仕事に本当に生きている」という言葉は、今まさに勉強中であるゼミ生たちにとって、とても励みになるものでした。今回の訪問に際し、大変温かくご親切に接してくださった「北こぶし知床ホテル&リゾート」の皆様には、ゼミ生一同、心より感謝申し上げます。私たちも、これから観光とサステナビリティについて勉強を重ね、知床での産学連携の実現に向けて努力していきたいと考えています。
研修ではさらに、斜里町役場、斜里第一漁協、羅臼町郷土資料館、標津町観光協会、ポー川史跡自然公園、標津サーモン科学館、北海道立北方民族博物館などを訪れ、施設担当者の方々からレクチャーを受けたり、ヒアリングや意見交換を行いました。
早朝に見学したサケの水揚げの現場、迫力満点でした!
羅臼町郷土資料館では、土器を手に取って観察できました
北方民族博物館で見た、アザラシの腸から作られたコート
経済学科のメンバーは、道東の主要産業であるサケ漁について普段から深く勉強をされていますが、私たち英米生にとっては、目にするもの、耳にすることのすべてが新鮮で、自然の恵みと、漁業に携わる方々への敬意を改めて感じました。また、羅臼町郷土資料館の学芸員の方は本学人文学部の人間科学科卒業生とのことで、レクチャーを受けた後は、土器の模様から異なる北方文化の時期を当てられるようにまでなりました。
町役場や観光施設におけるヒアリングとディスカッションを通じて、私たち英語英米文学科の学生が、道東での地域貢献に携わる具体的な可能性も見えてきました。ゼミ生たちにとっては今回が初めてのフィールドワークでしたが、とても楽しく、実りの多い研修になりました。そこでの成果を今後につなげるために、これから学科内の他のゼミとも連携しながら計画を立てていく予定です。
今回、学部学科の壁を超えて演習に参加したことで、多くの収穫がありました。このような、異なる専門性を持つ学生どうしの学び合いや交流から、また新たな研究テーマが生まれてくるかもしれません。これからの私たちの取り組みにも、ぜひご期待ください!
研修最終日、両学科生がおしゃべりに花を咲かせていました